当サイトの一部に広告を含みます。

当ページでは、停止条件付信託を活用するメリットと、注意点を解説します。
Contents
停止条件付信託とは
停止条件とは、将来の発生が不確実な事実を契約等の発生要件とすることを指します。
停止条件を付ける最大のメリットは、当該契約の効力発生時期を締結時ではなく、条件が成就したときに変更できることです。
「プロジェクトが成功したら報酬を支払う」と約束した場合、「プロジェクトの成功」が停止条件となります。
(家族)信託とは
家族信託とは、信頼できる相手に財産管理等を託す契約を指します。
停止条件付信託を活用するメリット
信託契約に停止条件を付けることにより、下記のメリットが考えられます。
- 柔軟な対応の実現
- 納税時期を先延ばせる
1. 柔軟な対応の実現
家族信託は、認知症や後継者対策等に用いられることが多い一方で、本人の意思能力が認められる間でなければ契約を結ぶことができません。
この点、「健康面に不安を感じた時」等の停止条件をつけることで、本人が健康なうちから話し合いを進め、互いに納得のいく時点から契約を遂行することができます。
「自分の財産は自分で管理したい」と考えるのが当然なので、健康なうちから預けることに抵抗を感じる人も多いんですよね。
2. 納税時期を先延ばせる
停止条件として、委託者の「意思能力の低下」を設定し、土地家屋等の不動産を信託財産に指定している場合、契約時に登録免許税はかかりません。
意思能力の低下時期を正確に予測できることは不可能なため、早期に備えるのが理想ですが、資金面に不安がある場合には、支度する猶予ができるためメリットだと言えます。
停止条件付信託を活用する際の注意点
信託契約に停止条件を付ける場合、下記に注意しましょう。
- 停止条件の内容
- 当事者間での話し合い
1. 停止条件の内容
停止条件付信託契約の締結について、停止条件には、客観的に判断できる内容を指定する必要があります。
例えば、「将来、認知症になったときに効力が発生するもの」を作る場合、下記の条件が考えられます。
- 医師から認知症の診断を受けたとき
- 判断能力が喪失していると判断したとき など
1-1. 認知症の判断基準
認知症の診断について、医師により判断基準が異なる場合があります。
また、信託契約の効力発生日について、「認知症の発症日」「認知症の診断日(医師の診断書作成日)」のいずれを設定するか等にも注意が必要です。
この点、当事者間で納得のいく時点を設定する必要があります。
1-2. 判断能力喪失の判断基準
「判断能力が喪失したと判断した時」を停止条件とする場合、誰が判断するのか、喪失の基準はどうするのかを決定する必要があります。
大前提として、判断能力は「意思能力」「行為能力」に分類されます。
意思能力 | 小学校高学年程度の判断能力 |
行為能力 | 単独で有効な取引行為をすることができる能力・資格 |
認知症の場合、他にそれらしい症状が表出していても、患者自身の氏名・住所・生年月日等を明確に答えられる場合もあり、判断が難しい側面があります。
この点、素人での判断は相当困難を極めるため、公的機関等が公開しているガイドライン等を活用するのがオススメです。
【関連リンク】契約締結判定ガイドライン|社会福祉協議会
2. 当事者間での話し合い
停止条件の有無にかかわらず、信託契約を締結する際は、親族間でしっかりと話し合いましょう。
特に、特定の親族のみと話し合い、他の親族との情報共有を怠った場合、後に誤解を生みやすく、信託の開始時にトラブルに発展する可能性があります。
また、信託契約を自分達だけで締結し、後にトラブルとなる事例も報告されています。
こうした自体を防ぐためにも、家族信託の目的と制度、相続に関する本人の希望等を共有しましょう。
信託契約を締結する際は、公平性・正確性を確保するためにも、弁護士や司法書士等の専門家に手を借りることをオススメします。
家族信託が不要な場合もある
本人の保有する資産が少ない場合、家族信託より、遺言書等で相続に備える方が適切な場合があります。
また、既に生前贈与等の対策を講じている場合、新たに信託契約を結ぶと重複する可能性もあります。
停止条件付信託契約のメリット、注意点まとめ
当ページでは、停止条件付信託契約を活用するメリットと注意点を解説しました。