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当ページでは、交通事故の「人身事故」「物損事故」の違いと、注意点を解説します。
Contents
人身事故とは
人身事故とは、交通事故により死傷した人がいる場合を指します。
物損事故とは
物損事故とは、事故による死傷者がなく、物にだけ損傷が生じた場合を指します。
人身事故と物損事故の違い
人身事故と物損事故は、下記の点で異なります。
人身事故 | 物損事故 | |
---|---|---|
行政処分 | 加算あり | 加算なし |
刑事処分 | 対象 | 対象外 |
自賠責保険 | 適用あり | 適用外 |
慰謝料請求 | 可能 | 原則、不可 |
消滅時効 | 損害および加害者を知った時から5年 | 損害および加害者を知った時から3年 |
相殺 | 不可 | 原則、不可 |
(1) 物損事故による損害賠償の範囲
両者の大きな違いは、損害賠償の範囲です。
人身事故の場合、車両等の物に限らず、身体的な損害に対する補償を求めることができます。
また、後遺障害まで対象となります。
いっぽう、物損事故の場合は、交通事故により破損した物や、これらを修理・補塡する際にかかる費用に限られます。
人身事故と物損事故の判断基準
人身事故と物損事故、いずれに該当するかを判断するのは、原則、警察です。
端的に言えば、通報・届出時における人的被害の有無・内容から事故処理の方法を決定します。
このため、人体に被害があれば人身事故、なければ物損事故として扱われることになります。
(1) どちらで処理されているかを確認する方法
人身事故と物損事故、いずれで処理されているかがわからない場合、交通事故証明書を取得し、「商号記録簿の種別」にて確認する方法があります。
(2) 警察や加害者から物損だと言われた場合
事故処理にあたる警察官や、加害者から物損事故として届出るように言われることがあります。
この場合、被害者側が少しでもケガをしていれば、人身事故として届出ることをオススメします。
警察・加害者が物損事故を勧める理由
(1) 警察の場合
警察が物損事故を勧めるのは、人身事故と比べ、事故処理の手間が省けるからです。
人身事故の場合、当事者立会いのもとで実況見分捜査をし、調書(実況見分調書)にまとめるほか、当事者から話を聞き、供述調書を作成します。
この後、加害者の刑事処分を求めるため、検察に事件を送致するのですが、物損事故ではこれらの手間がかかりません。
物損事故は、供述調書・物件事故報告書の作成にとどまるほか、後に人身事故に切り替えられることから、勧める警察官も多いようです。
(2) 加害者の場合
加害者が物損事故を勧める場合、下記の理由が考えられます。
- 刑事罰を回避するため
- 行政罰を回避するため
- 示談金額を下げるため
- 慰謝料等の支払範囲を狭めるため
物損事故の場合、事故原因が道路交通法違反によるものでない限り、違反点数の加算はありません。
また、人身事故に比べ、示談交渉も早期に終わります。
一方、人身事故の場合には、加害者に対し、免許の違反点数が加算され、免許停止・取消しの対象となる可能性があります。
また、被害者のケガ治療が終わらない限り損害が確定せず、示談交渉が長期化し、示談金が高額化する可能性がある点で異なります。
請求できる示談金の内容
1. 人身事故の場合
人身事故の場合、下記の内容を請求することができます。
- 車両等にかかる費用(修理、買替、代車等)
- 慰謝料
- 治療関係費
- 休業損害
- 遺失利益
- その他
2. 物損事故の場合
物損事故の場合、示談金として請求できるのは下記の通りです。
- 車両等の修理費、買い替え費
- 代車費用
- 車両等の修理中にかかる交通費
- 評価損
- その他
上記が全て支払われるわけではなく、また、上記以外の費用が支払われる場合がある点に注意しましょう。
物損事故の場合、精神的苦痛に対する慰謝料は対象外であり、万が一、同乗していたペット等が死傷したことによりショックを受けたとしても、慰謝料請求はできません。
物損事故の注意点
物損事故の場合、下記に注意しましょう。
- 自賠責保険の対象外
- 実況見分がない
1. 自賠責保険の対象外
物損事故の場合、自賠責保険による補償対象外です。
このため、加害者が任意保険に加入していない場合には、相手方に直接請求しなければなりません。
加害者に請求する場合、示談金の相場や支払資力の確認等を慎重に行う必要があるほか、一般人同士の場合には、交渉がスムーズに運ばない可能性もある点に注意が必要です。
2. 実況見分がない
物損事故の場合、実況見分がありません。
実況見分とは、当事者立会いのもとで事故現場の道路状況、見晴らし、ブレーキ痕の有無等を確認するものです。
実況見分が行われない場合、事故発生時の状況を示す客観的証拠を確保することが難しく、過失割合の算定が難航する可能性があります。
物損事故から人身事故への変更
1度物損事故を選んだ場合でも、人身事故に切り替えることができます。
- 病院で診断書を取得
- 保険会社に連絡
- 警察署で切り替え手続
1. 病院で診断書を取得
事故後、なるべく早く医療機関で診察を受け、診断書を作成してもらいましょう。
受診するのは整形外科が望ましく、必要に応じ、脳神経外科等への紹介を受けます。
診断書の作成費用は加害者に請求できるため、領収書は保管しましょう。
即日取得が難しい場合、先に警察に連絡し、交通事故により受傷した旨を報告しておくと安心です。
2. 保険会社に連絡
自身が加入する保険会社に対し、物損事故から人身事故に切り替える意向を伝えましょう。
この場合、被害者が加入する任意保険から受けられる補償のほか、加害者が加入する保険会社から受けられる補償について説明されます。
治療費について、被害者が立替える場合は後から返金を受けられますので、領収書は保管してください。
相手方の保険会社への連絡について、被害者自身で行う場合と、自身の加入する保険会社が連絡してくれる場合があるため、適宜対応しましょう。
3. 警察署で切り替え手続
診断書を作成後、事故現場を管轄する警察署に提出し、人身事故への切り替え手続を行います。
この場合、被害者・加害者立会いのもと、実況見分を行うことになります。
人身事故への切り替えについて、加害者は拒否することができます。
ただし、被害者が診断書を取得している場合には、認められない可能性があります。
人身事故と物損事故の違い、注意点まとめ
当ページでは、人身事故と物損事故の違いと注意点を解説しました。
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