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相続人がいない場合の相続関係と必要な手続、注意点を解説

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当ページでは、相続人がいない場合に遺産を相続する人と必要な手続、注意点を解説します。

相続人がいない場合

被相続人に法定相続人がいない場合、原則、遺産は国のものになります。

法定相続人がいない場合に考えられるリスク

法定相続人がいない場合、下記のリスクが伴います。

  1. 葬儀・遺品整理等に関する手続きが複雑化する
  2. 必要費について、遠縁の親戚、友人知人等が負担する可能性がある
  3. ペットがいる場合、保護対象となる

法定相続人に該当する人

法定相続人とは、下記に該当する人を言います。

順位該当者
0配偶者
1子、孫などの直系卑属
2父母、祖父母などの直系尊属
3兄弟姉妹

(1)法定相続人以外で相続人になり得る人

下記に該当する場合、法定相続人でない人でも相続できる可能性があります。

遺贈の受贈者遺言により指定された財産を受け取る人
親族、個人に限らず、法人が指定される場合もある
特別縁故者被相続人と生前、特別な関係にあった人
内縁者、縁組みをしていない義理の子など

(2)相続人に含まれない人

下記に該当する場合、相続人に含まれない点に注意が必要です。

先順位のいる後順位者法定相続人のうち、実際に相続できるのは最先順位者のみ
相続放棄をした人はじめから相続人ではなかったとみなされる
相続欠格に該当する人法律上の欠格事由に該当する場合
相続廃除を受けた人被相続人により相続人から廃除された場合
親族関係を解消した人相続開始前において、離婚、離縁等の手続をとっている場合
事実上の配偶者、子事実婚状態の夫または妻
縁組みしていない再婚相手の子(連れ子)
認知していない婚外子

特別縁故者とは

特別縁故者とは、被相続人と特別な縁故があり、被相続人の財産を受け取るのが妥当だと認められる人を指します(民法第958条の2)

被相続人と特別な関係にあれば自動的に相続できるわけではなく、一定の手続が必要です。

(1)特別縁故者の要件

特別縁故者の要件は、下記の通りです(民法第958条の3)

被相続人と生計を同じくしていた者内縁の妻、夫、事実上の養子、被相続人と共同生活をしていた人など
被相続人の療養介護に努めた者同居の有無を問わず、被相続人の生前において、献身的に看護・介護にあたった人
※法定相続人に含まれない親族、その他まで含む
※報酬を得ていた場合は除外
その他、被相続人と特別な縁故があった者上記以外で、被相続人と特別密接な関係にあった人
具体的には、個々の事案に応じ、家庭裁判所が最終的な判断を下す

(2)特別縁故者が相続できる場合

特別縁故者が相続できるのは、下記に該当する場合です。

  1. 法定相続人の不存在が確定している
  2. 遺言書がない

特別縁故者が相続するまでの流れ

被相続人の相続人不存在が確定し、特別縁故者が相続できる可能性がある場合、家庭裁判所に対し、下記の手続が必要です。

  1. 相続財産清算人の選任申立て
  2. 法定相続人相続財産の調査
  3. 特別縁故者の相続財産分与の申立て

1.相続財産清算人の選任申立て

特別縁故者として財産分与の申立てをするには、家庭裁判所に対し、利害関係人または検察官から「相続財産清算人」の選任を請求する必要があります(民法第952条)

(1)相続財産清算人とは

相続財産清算人とは、相続人に代わり相続財産を処分する人を指します。

令和5年5月前まで「相続財産管理人」という名称だったのでややこしいかもしれませんが、選任を申立てる目的はほぼ共通です。

(2)利害関係人とは

ここでの利害関係人とは、相続放棄をした元相続人、被相続人に対し債権・請求権をもつ人、特別縁故者として相続できる可能性がある人を指します。

(3)相続財産清算人の業務

相続財産清算人の業務は、下記の通りです。

  1. 法定相続人相続財産調査
  2. 相続財産の管理・換価
  3. 債権者・特定受遺者への支払
  4. 特別縁故者への相続財産の分与
  5. 残余財産の国庫帰属

2.法定相続人・相続財産調査

相続財産清算人が選任された場合、法定相続人相続財産の調査を行います。

相続人調査は官報公告の方法により6か月間行い、期間内に法定相続人の存在が明らかになると、当該相続人が相続することになります。

(1)相続財産の管理・換価

公告期間中、相続財産清算人は相続財産を換価し、債権者への支払、遺贈の実行等の手続とあわせ、適切に管理します。

この段階で相続財産がマイナスとなった場合、特別縁故者が相続することはできない点に注意が必要です。

3.特別縁故者の相続財産分与の申立て

公告期間経過後、法定相続人が見つからず、相続財産が残っている場合、特別縁故者の相続財産分与の申立て請求が認められます。

当該申立ては、官報公告満了から3か月以内に行わなければならない点に注意しましょう。

(1)申立てに必要な書類

相続財産清算人の選任申立て、特別縁故者の相続財産分与の申立てに必要な書類は下記の通りです。

相続財産清算人の選任申立て特別縁故者の相続財産分与の申立て
必要書類・申立書
・被相続人の出生時から死亡までの連続する戸籍謄本
・相続人の戸籍(除籍)謄本
・被相続人の住民票の除票
・財産目録
・申立書
・申立人の戸籍謄本
・被相続人の戸籍(除籍)謄本

上記以外の書類等を求められる場合もあるため、裁判所の指示に従いましょう。

(2)かかる費用

相続財産清算人の選任申立て、特別縁故者の相続財産分与の申立てに共通して必要なのは、収入印紙(800円分)と連絡用の郵便切手代です。

郵便切手については、申立先の家庭裁判所により必要な代金・組み合わせが異なるため、事前に確認しましょう。

また、相続財産清算人の選任申立てに際し、官報広告費用(約4,000円)と、場合により予納金が必要な点に注意が必要です。

(3)特別縁故者が受け取る事ができる相続財産

特別縁故者として認められた場合、受け取れる財産は家庭裁判所の決定に従います。

ただ、債権者・特定受遺者への清算後、残った金額全てを受け取ることは難しいのが現状で、裁判所が妥当と判断した金額を相続し、残額は国庫に帰属することになろうかと思います。

特別縁故者の財産分与にかかる相続税

特別縁故者が財産分与を受ける場合、相続税の課税対象となります。

この場合、相続税の基礎控除額は「3,000万円」であり、これを超える場合に相続税の申告・納税が必要です。

内縁者の場合、配偶者控除の適用を受けることはできず、親族であっても2割加算の対象となります。

相続人がいない場合、遺言書を作成しましょう

相続人がいない場合、何の準備もなく死亡すると様々な問題が生じる可能性があります。

自身の財産処分に希望がある場合や、生前お世話になっている個人・法人等がいる場合には、遺言書の作成がオススメです。

遺言書の作成でお困りの際は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」、公証役場、行政書士等までご相談ください。

相続人がいない場合の相続関係、必要な手続、注意点を解説

当ページでは、相続人がいない場合の相続関係と必要な手続、注意点を解説しました。

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カテゴリー: 相続・相続税


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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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