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先日、SNSで目にした投稿に心が締め付けられました。
小鳥が死んだのですが、どこに捨てればいいですか
命が亡くなった直後は、気が動転して当然です。
しかし、「捨てる」という言葉に対し、私は違和感を拭えませんでした。
本記事では、鳥や小動物が亡くなったときにしてはいけないことと、正しい見送り方を解説いたします。
「捨てる」は違法?ペットの遺体に関する法律の基礎
「小鳥1羽くらい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ペットの遺体は単なるごみではありません。
まず、問題となるのが「廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)」です。
この法律では、「廃棄物をみだりに捨ててはならない」とされ、ペットの遺体を可燃ごみとして袋に入れ、収集日に出す行為が不法投棄(第16条)に該当する可能性があります。
実際に、動物の遺体を公園や山林に遺棄したケースで逮捕、送検された事例も存在します。
不法投棄と判断された場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という重い罰則が科されることになります。
また、誤解されることがあるのですが、「動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)」では、主に生きている動物の虐待や遺棄行為を処罰対象としています。
したがって、亡くなった後の遺体処理については直接的な罰則規定はありません。
ただし、環境省や自治体により、「倫理的に問題がある遺体処理」は動物愛護の精神に反する行為とみなし、行政指導や注意喚起の対象となることもあります。
つまり、法律のグレーゾーンに逃げ込むような行為であっても、社会的・倫理的に非難されるリスクがあるのです。
小さなペットであっても、その子は家族の一員だったのではありませんか?
その命の重みを尊重し、適切な方法で見送ることは飼い主の責任であり、愛情の形ではないかと思うのです。
実際にあった「ペットの遺棄」で摘発された事件例
事例1:小動物の遺体を公園に遺棄し書類送検(愛知県・2019年)
愛知県内の公園にて、小動物の遺体を袋に入れて放置した人物が、廃棄物処理法違反の疑いで書類送検されました。
この事件で捨てられたのは数匹のハムスターで、警察は「廃棄物をみだりに捨てたものと判断できる」として法的措置をとっています。
ハムスターや鳥などの小動物に対し、「小さいから問題ない」と済まされないことを示す象徴的な事案です。
事例2:犬の遺体を山林に遺棄して逮捕(神奈川県・2015年)
神奈川県内でペットの犬をなくした飼い主が、山中に遺体を捨て逮捕された事例です。
「経済的理由により火葬ができなかった」と供述しましたが、不法投棄により立件されています。
このように、「仕方がなかった」は通用せず、捨てる行為そのものが問題視されます。
自治体の見解:明確に「ごみとして捨てないで」と明記する例
東京都世田谷区(公式サイトより)
大阪市環境局
環境省(動物愛護管理行政の手引)
正しい見送り方は3通り―それぞれの選択に想いがある
ペットが亡くなったとき、「何をすればいいのかわからない」という方も少なくありません。
ここでは、国内で一般的に選ばれる3つの見送り方法をご紹介します。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身とペットの状況に合わせてご検討ください。
1.自治体に依頼する
多くの市区町村では、ペットの遺体回収や火葬の受付を行う部署があります。
「清掃事務所」「動物愛護センター」「生活環境課」など、名称は各自治体により異なります。
概要
- 回収は予約制が多く、日時・場所の指定が必要
- 多くは他の動物と一緒に火葬される「合同」形式となるため、個別の火葬、返骨はできないケースがほとんどです
- 小動物(鳥やハムスター等)は500~2,000円程度の価格帯が多め
メリット
- 金銭的な負荷が小さく、手続きも比較的容易
- 自分でどうすればいいかわからないという方でも利用しやすい
デメリット
- 式やお別れの場は設けられず、感情的な区切りはつけづらい
- 火葬後の返骨はできず、「遺骨を残す」選択肢がとれない
お金はかけられないが、きちんと見送りたいという方に、まず知っておいてほしい選択肢です。
2.ペット火葬業者に依頼する
近年、増えているのが民間のペット火葬業者を利用したお見送りです。
専用の火葬炉を備えた車で自宅前まで来てくれる「訪問火葬」や、専用施設に連れていく「持ち込み」、他のペットと一緒に火葬する「合同火葬」などがあります。
費用目安
- 小鳥やハムスター等:8,000円~25,000円前後
- 立ち合いや収骨を希望するかどうかで料金が変動
メリット
- 個別火葬が可能で、お骨を自分で拾うこともできる
- 骨壺、位牌、分骨ペンダント等のオプションも豊富
- 訪問火葬の場合、自宅で最期の時間を過ごすこともできる
デメリット
- 業者により対応・マナーに差があり、信頼性の見極めが必要
- 一部業者は悪質との報告があり、慎重な選択が求められる
「ペット葬儀社 口コミ」や、「○○市 ペット火葬 比較」等で検索し、比較検討されることをオススメします。
3.自宅での埋葬(条件アリ)
「できれば、自宅で見送りたい」
「静かにそばにいてほしい」
そう願う方の中には、ご自宅の敷地内に埋葬されるケースもあります。
条件と注意点
- 自宅に十分な土地(庭)がある場合に限られる
- 遺体は30㎝以上の深さに埋めることが推奨され、動物に掘り返されないよう石をかぶせる等の工夫は求められる
- 埋葬後に土壌汚染や悪臭が発生した場合、近隣トラブルの原因になる
- マンション、アパート、借地、公園等、公共地への埋葬は違法、または禁止
メリット
- 経済的な負担は少なく、心情的に身近にいられる
- 家族で見送ることができ、感情的な儀式として意味づけができる
デメリット
- 衛生面、法律面でのグレーゾーンが多く、おすすめできないケースも多い
- 今後の引っ越し等により、墓所を維持できなくなるリスクがある
埋葬を検討される場合、お住いの自治体に「ペットの埋葬」に関するガイドラインがあるかどうかご確認ください。
自分を責めてしまう方へ―それでも、あなたは充分に愛していました
ここまで読んでくださった方の中には、既に大切な子をなくしてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
私のせいかもしれない
もっといい方法があったかもしれない
そう思い、眠れぬ夜を過ごした方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、どうか思い出してください。
その子はあなたの声を知り、あなたの手の温もりを覚えており、あなたの中できちんと愛されていました。
あなたが注いだ愛の大きさと、最期の見送りとが直結するわけではありません。
あなたがそばにいてくれたこと、
あなたが泣いてくれていること、
それだけでその子は、きっと幸せだったのではないでしょうか。
小さな命を見送るというのは、何度経験しても慣れることはありません。
しかし、少しでも悔いのないお別れができるよう、この記事があなたの心の整理の一助となれば幸いです。
YouTubeにて動画を公開しています
このテーマについては、実体験を交えてYouTubeでも詳しく語らせていただきました。
小さな命との別れ方に迷ったとき、ぜひ一度、動画もご覧になってみてください。
▶動画はこちらから
※近日公開予定です※
「捨てる」ではなく、「送る」。その選択が、きっと心を少しだけ前へ進めてくれます。