
本記事では、相続時の寄与制度について解説します。
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特別寄与制度とは?
特別寄与制度は、相続人以外の親族が被相続人の財産維持・増加に貢献した場合、その人から相続人に対し、貢献度に応じた金額を請求できる制度をいいます。
似たようなものに、「寄与」があります。
寄与と特別寄与の違いは?
寄与とは、相続人の中に被相続人の財産維持・増加に努めた人がいれば、遺産分割時に貢献度を考慮するものです。
ポイントは、貢献者が相続人か、相続人以外かの部分です。
相続人とは原則、配偶者、子、父母や祖父母など直系尊属、兄弟姉妹と範囲が限られています。
いっぽう、特別寄与料を請求できる「親族」には、6親等内まで含まれます。
特別寄与料を請求するための要件は?
下記の通りです。
1.被相続人の親族であること 2.被相続人に対して療養看護その他の労務を提供をしたこと 3.労務の提供が無償で行われたこと 4.相続財産の維持または増加について特別の寄与をしたこと |
被相続人の親族であること
「親族」でなければならないため、ヘルパーさんや事実婚状態にあるパートナーは特別寄与料を請求できません。
また、親族だったとしても相続人の場合は寄与分があるため、これと別に特別寄与料の請求をすることはできません。
その他、相続放棄をした人や欠格事由、廃除されている人は特別寄与者になることはありません。
被相続人に対して療養看護その他の労務を提供したこと
特別寄与料は、被相続人に献身的に尽くした人に認められるモノです。
そのため、療養看護や労務提供をした事実のない人が特別寄与料を請求することはできません。
労務の提供が無償で行われたこと
特別寄与料が認められるのは、無償で労務を提供していた場合です。
生前に対価をもらっていた場合、特別寄与料の請求はできません。
相続財産の維持または増加について特別の寄与をしたこと
特別寄与料は、その人の行為で相続財産が維持された、または増加した事実がなければ認められません。
どんなに献身的な療養看護を行っていても、相続財産に何らの変動もなかった場合には、特別寄与料を請求することはできません。
特別寄与料の請求方法は?
次の方法で特別寄与料を請求します。
・当事者間での協議 ・家庭裁判所への申立て |
当事者間での協議
民法上、相続開始後に特別寄与者から相続人に対し、特別寄与料を請求できる旨が定められています。
そのため、現実的には当事者間での協議となります。
家裁への申立て
当事者間での協議が調わない、または協議そのものができないときには、家庭裁判所に調停または審判の申立てをして、処分を請求することができます。
まとめ
本記事では、特別寄与料請求権について解説しました。
相続人からすれば、自分達の相続分が減少することになるため、協議が調わないこともあるでしょう。
そんなときには、相続を専門に取り扱う弁護士への相談を検討しましょう。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。